江戸切子の高い技術が美しい作品を生み出す
江戸切子は、国内外で人気の高いガラスを使った日本の伝統的工芸品です。今回は、江戸切子の歴史とその魅力について紹介します。
・江戸切子が日本で生まれたきっかけ
江戸切子の歴史は、江戸時代にまでさかのぼり、1834年に加賀屋久兵衛がガラスに細工を施したことが始まりと言われています。「江戸切子」という名称は、戦後に付けられた品名で、江戸の当時は「ギヤマン」や「切子」と呼ばれていました。オランダには「ギヤマン」というダイヤモンドを指すガラス製品があり、その名称と同じ呼び方です。「切子」も当時の「ガラスを加工する」ことを指す言葉です。
・カット技術の発展過程
明治時代には政府がガラス工業製品に力を入れ始めます。まず、英国からカット技術を持つエマニュエル・ホープトマンを招いて日本人がその指導を受けます。これが現在の江戸切子を作るガラスの加工技術として定着します。細工には「ホイール」が使われ始め、透明なガラスから色被のガラスにしたものが増えたのもこの頃です。ガラスのカット技法が確立され、江戸切子の魅力をさらに引き出すことに成功したのです。
昭和の戦後復興期には加工技術が向上し、平成に入って国の伝統的工芸品にも指定されます。令和の現在、多くの江戸切子が生み出されています。国内の人気だけでなく、海外でもお土産や贈り物として評価されている注目の工芸品です。これが「江戸切子」の歴史です。
江戸切子の特徴とは？制作工程と手作業の魅力
江戸切子には、大量生産される一般的なガラス製品とは異なる特徴があります。それはカット技法を持つ職人が手作業で1品ずつ仕上げることです。
制作には以下の工程があります。
- 「割付け」
- 「粗摺り」
- 「中摺り」
- 「石掛け」
- 「磨き」
それぞれの作業には、高い技術と経験が求められます。「割付け」では、ズレないように線を引く必要がありますし、「中摺り」では正確な磨きをする職人の腕が試されます。摺りの場合、「粗摺り」「中摺り」でそれぞれに研磨するダイヤの粒の大きさを変えて調整が必要です。そして、「磨き」の後には「バフ掛け」があり、磨き粉を使ってガラス全体をさらに磨き上げて仕上げます。細かなボケも取り除いて、美しい艶を出せる工程です。一連の工程を通じ、江戸切子にしか再現できない独特の模様が生まれます。
上記の工程には、すべて人の手が入り、職人にしか出せない繊細な文様を実現するのです。ここに人を魅了する江戸切子ならではの特色があります。歴史と高い技術が合わさって、美しい作品が職人の手で初めて作り出すことができるのです。
高い技術を持った職人が集まる硝子工房「彩鳳」
彩鳳には、高い技術を持った職人が多数在籍しています。例えば、伝統工芸士である細小路圭は新たな江戸切子の可能性を模索し、世に作品を生み出している一人です。数々の作品展では多くの受賞を経ており、日本の「伝統工芸士」認定を受けている数少ない職人です。彩鳳には、彼を初めとして３名が伝統工芸士に認定されています。他にも、多くの若手スタッフが工房を支えています。そして、後継者を育てるべく、若い職人へと技術を継承しています。具体的には、江戸から受け継がれている伝統文様や切子加工技術です。
・伝統から新しい挑戦
江戸時代からある文様の細工を施すには、伝統の継承も大事です。しかし、彩鳳の職人は新しい文様への試みも忘れていません。江戸切子の文様で広く知られる「市松文様」は、イメージを新たに刷新したものを作り出しています。また、色のバリエーションに関しても定番の赤色や青色に限らず、多彩な色の硝子生地を使っているのです。色と組み合わせて、伝統文様の魅力を高めています。
美しい江戸切子の商品3選
彩鳳は、デザインの美しい商品が目白押しです。ここでは、特に美しい商品を代表する3点を以下に紹介します。
・M-086-B 剣菱星文様 ぐい呑 ルリ
こちらの商品は、「剣菱」と「笹の葉」「星文様」の3種類をあわせて、伝統文様の「剣菱星文様」を表面にデザインしたぐい吞です。「生命力に溢れた健康長寿を祈る」という意味を込められています。素材にはソーダ硝子が使用されており、格式高い茶会のガラス茶器として使えるのです。さらに、結婚・出産祝いの贈り物や記念品としても喜ばれます。
・M-266 矢来星重文様 オールド
こちらの商品は、デザインに建築や着物にも使われる伝統模様の「矢来文様」を施し、中に星を入れています。光が拡散するクリスタルグラスで外観の明るさがマッチします。グラスの色が変われば全体の印象が変わり、使わず眺めているだけでもインテリアになる仕様です。主に、ロックグラスとしてデザインを眺めながらお酒を飲む楽しさを味わえます。
・M-7528-BP 菱鱗重文様 天開タンブラー ブルーピンク
こちらの商品は、鎌倉・北条氏の家紋で知られる「菱鱗」に現代の模様を入れたオリジナルの「菱鱗重文様」を施した製品です。ソーダ硝子をベースに使用しており、光の加減やデザインの工夫があり、上部と下部で色が違うなど、細かな見た目の違いで贈るグラスを自由に選べます。個人がお酒や日常的な飲料を注ぐタンブラーグラスとしても使用できます。
以上、贈り物として江戸切子が最適な理由は、贈られた相手が喜ぶデザインや装飾にあります。特に彩鳳ではガラスの素材にもこだわっており、さまざまな伝統文様を楽しめます。また、時間が経つと劣化するといったこともないので、価値ある工芸品を長く愛用できることも3つの商品の魅力です。
